蛇足:放言の弁解

http://d.hatena.ne.jp/DocSeri/20081009/1223479994
で言及されたのでやっちゃった感を醸し出しつつ意見を述べたい。
まず自身ブクマコメントに書かなかったことに関して。

ネット右翼の定義に関して。

たとえば僕は「右翼的な教育を受けネット上で右翼的な言論を発する人」、「左翼的な教育を受けてネット上で左翼的な言論を発する人」を、それぞれネット右翼ネット左翼と呼びたくないと思っているが、これは僕の勝手な「定義」に基づくもの。でもこうした自分定義を多くの人が持っていると思う。
人の数だけネット右翼の定義が違うのに、pdfの報告書を見ずに、最終的な調査結果だけを見てネット右翼の数を認識する人が出てくることを危惧する。

調査の前提に関して。

インターネットのヘビーユーザにネット右翼が多いだろう、という推測がまず間違っているんではないかと思われる。


個人的な見解になるが、ネット右翼化現象(というものがあるなら、の話だが)を引き起こしている主な層は、「2chとかから入ってしまったライトユーザ」だと思う。
普通に生活する中では得られなかった中・韓の反日的活動の情報を目にしてショックを受け、ネット右翼化する。
でも、その後ネットを続けてればイヤでも「国際社会ってのはこんなもんだ」ということに気づくことになる。
熱病からさめたユーザは比較的冷静に政治的に右翼的な立場か左翼的な立場か無関心な立場にソフトランディングしていく。
するとヘビーユーザはごく一部を除いて「ネット右翼」と呼べるような存在にはなれない。
無論、これも各自のもつ「ネット右翼」の定義の問題に密接に関わってくる。


専門家の調査だから信用できる、という意見に関して。

確かに専門家の調査は素人の調査よりも信用できるかも知れないが、思考停止は危ない。
特にインターネットという分野においては、現状「専門家」も手探りであると認識しているが、どうだろうか。
僕自身、「我が意を得たり」と感じた「専門家」の調査結果なんかに関してはすぐに飛びつく癖があるので気をつけたいと思っている。



で、以下ブクマコメで書いたことに関して。

マクロミルに関して。

・まず、インターネット上の調査は、不正ができない仕様でも信用できないし、
マクロミル利用者の偏りについて書かれているエントリを見たことがある。


という二点。後者については確認すると随分昔のエントリだったので実態は変わっているかもしれない。変わってないかも知れない。


前提として、インターネット上の調査ではどうしても「無作為」の抽出ができない。
中でもマクロミルの会員は、自分から希望して会員になった人たち、いわば能動的な会員。
登録も電話番号などの入力が必要なので、それが嫌な人、面倒な人は登録しないと言うことになる。
インターネット上で小遣い稼ぎをしたい人ということになるので、嫌儲的な人は参加しないかも知れない。
また何十万人の会員がいても、積極的に回答意思を持っている人の数はまたそのうちの何割かということになる。
一応言っておくが、僕はここで嫌儲ネット右翼ネット右翼は匿名主義・面倒臭がり、という主張をしたいわけではない。
あくまで主張は、「属性による偏りは必ず出てしまう」ということ。そして「偏りによる誤差が無視できる物ではないと思われること」だ。
ではより実態に近い調査結果を出すにはどうすればいいのか、という問いに僕なりの答があるかどうかと言えばノー。
会員制を取らなくても回答者は自分から好んで回答する。不正はより行われやすいだろう。
あくまでインターネット上の調査は全て信用できないというのが僕の主張であり、だからこそ皆答を出し倦ねているのだと思う。

軍靴の足音云々。

ここまで書いておいてなんだけども、ネット右翼の数がこの数倍、或いは数分の一だという結果が出たとして、調査結果の印象は変わらないかなー、とも思う。
ただブクマコメの最後に「軍靴の足音がうんたらかんたら」と書いたとおり、右傾化に警鐘を鳴らしたいメディアがいる限り「ネット右翼現象はある」と言われ続ける。
その捻れた前提のせいで、こうしたアンケート結果も「おまえらネット右翼なんてごく少数なんだよ」「おまえらの言ってるネット右翼って幻じゃん」という言い合いの材料にしかならないだろう。馬鹿らしいなあ。
……という思いから「メディアがクソ」という陳腐な愚痴を「軍靴の足音云々」という表現で脊髄反射的に書いてしまったことに関してはちょっと反省。
弁解は罪悪と知り給え。