紹介:相原あきら『世界は悪魔で満ちている?』

世界は悪魔で満ちている? (電撃文庫 (1294))
相原 あきら
メディアワークス
売り上げランキング: 342438
おすすめ度の平均: 3.5
2 うーん・・・
5 クールでちょっとエッチなイラストとハイテンション
2 え、続刊あるよねぇ? ……まさかこれで終わり?
5 キャプテン・フォン・ファーザー推薦

「……くっ……これで、いい……?」
 唇を噛み締めながら、イシダは両手でスカートを持ち上げた。顔を背け、まともにマコトの顔を見られない様子だ。それに変わって、縞のパンツが正面からこんにちは、良いお返事です。

(相原あきら『世界は空くまで満ちている?』より引用。以下引用部全て同作品)


 さっくりさくさく読めるライトノベル
 アレなところを引用したけど中学生なんでそんなにエロさはない。いやいや、世の中には小学生設定であんなのやこんなのやあるじゃない、ありますよ、と言われても知りません。
 帯に「クラスメイト(女の子)のとんでもない(!)秘密を知ってしまったらあなたはそれを……?」という文言が書いてあり、その下に「まきますか」「まきませんか」「利用する」「利用しない」とアンケートのように並べて書かれている。その「利用する」が○で囲まれているが、実際の内容は利用するも利用しないもなく、秘密を知ってしまったことを「利用される」主人公の話。
 まあとにかく、秘密の共有からぐっと仲が進展する男女の話。人間と悪魔と天使が共存する世界で、ヒロインは多くの悪魔がそうであるように自分が空くまであることを隠して生きてる。主人公は彼女が悪魔であることをひょんなことから知ってしまう――。
 特徴的なのはくだけっぱなしの「一人称的な三人称」の語り文体。コマの外から作者のツッコミが入る漫画みたいな懐かしさ。天使とか悪魔とか出るしこれは全てを上から見てる神視点っていうメタオチかなとかちょっと考えたけどそういうことでもないらしい。

 ええ!? マコトはものすげえ温度差を感じてしまう。
 今!? 何? さっきまでの会話で、僕達すげえ雰囲気盛り上がってたの?

 みたいな感じでナチュラルにキャラの一人称が混ざってくるので警戒せよ。


 ヒロインはツンデレというか、らんまのあかねを極端にしたような感じ。素直になれない。
「秘密を知られて脅されて無理矢理やらされている」という体裁と自分への言い訳をもって、主人公につきまとったり弁当を作ってきたりデートをしたりというネタ一点張りで中盤は進む。せっかく一緒にいても主人公の言動をすぐ悪い方向に取ってつっかかったり、ほほえま……怖いよこの子! でも少し物語世界から距離を置いた軽妙な語り口調のおかげで、あんまりキツくは感じない。
 ラスト近辺は怒濤のドタバタ。あまり深く考えずにさくさくと軽い気持ちでライトノベルを読みたいという人にお勧めです。